Atteindre

イメコンの診断方法~パーソナルデザインは何を基準に診断しているのか?~

パーソナルデザイン

2020/05/18

 

「パーソナルデザインって何を基準に診断しているんですか?」

これは、とてもよく聞かれる質問です。
パーソナルデザイン診断を受診された多くの方が抱かれる疑問なのではないでしょうか。

 

これをどう説明したらいいのか、あらためて考えてみるとなかなか難しいということに気づきました。突き詰めていくととても深いテーマで、これだけで「イメコン論」という論文が書けそうなくらいです、笑。

 

イメコン(イメージコンサルティング)には様々な流派、診断メソッドがありますが、パーソナルデザインは他の診断に比べて特に「診断方法が謎」だと思われています。

これは「メソッドが非公開だから」というよりは、「診断アプローチの違い」にあるかもしれません。

今回は各イメコンの診断方法を比較しながら、「なぜパーソナルデザインの診断基準はわかりにくいのか?」について考察してみました。

 

 

骨格、顔タイプ、パーソナルデザインは診断の時どこを見ているか?
それぞれの診断で何がわかるのか?

最近は、色々な診断を受ける人も増えており「イメコンコンプリート」という言葉もツイッターなどで見かけたりします。

たくさん受けるのがいいかどうかはさておき、色々な種類の診断を受ける際にものすごく重要なことは、「各診断で何がわかるようになるのか」を理解しておくことです。
そこを抑えておかなければ、「前に見てもらったアナリストにはこう言われたけど、別のアナリストからはああ言われた」と混乱して迷子になってしまいます。

 

まず、<骨格診断>
この診断では、顔から下(体型の部分)だけを見ており、<自分の体型をスタイルよく見せる洋服のデザインや着こなし>が分かるようになります。

一方<顔タイプ診断>首から上(顔の部分)だけを見ます。
これによって<自分の顔に合うデザインやテイスト>が分かるようになります。

例えば<似合う素材>を、骨格診断では「ハリのある素材」と言われ、顔タイプ診断では「柔らかい素材」と正反対のことを言われたとしましょう。
これは「体型をカバーしてスタイルよく見せてくれる素材としてはハリがあるものがいいけど、顔立ちは女性らしく曲線的なので柔らかい素材の方がイメージに合う」ということになります。
(「どっちを優先させたらいいの?」という質問もよくあるのですが、それはまた別の機会に書きます。)

 

<パーソナルデザイン診断>は、顔と体型の両方を見ます。それ以外にも話し方や声のトーン、しぐさなどの全体的な雰囲気をとらえて、<自分の個性を引き立てるファッションイメージ>を分析するものです。

 

骨格や顔タイプは「ポイントを絞って見る」のが特徴であり、パーソナルデザインは「全体的にとらえて見る」という特徴があります。

 

また、「診断のアプローチ」も異なります。

 

 

診断アプローチは大きく分けると2つ

1、結果先行式

「その人が何タイプなのか」まず先に分析結果を出して、「〇〇タイプだから△△が似合う/似合わない」と提案する方法

この方式は、骨格診断や顔タイプ診断が該当します。

<結果先行式>の手法には「しっかりした分析メソッドがある」のが特徴です。

顔の形やパーツの位置、骨格の形状など見るべきポイントが決まっており、順番にチェックしていくとどのタイプか分かるようになっています。

 

2、分析並行式

「その人に何が似合うか」を分析しながら、「△△が似合う/似合わないから〇〇タイプ」と提案する方法

この方式に該当するのは、パーソナルカラー診断です。

何色もあるドレープ(布)を使って「顔映りがどう変化するのか?」を見極めた上で、似合う色のタイプを決定するのが一般的な手法です。

パーソナルカラー診断のなかでも、ネットなどで「肌の色は~」「目の色は~」というチェックだけで結果を出すものだと<結果先行式>に該当しますが、これだと顔映りの変化がわからないので、ドレープを使わない診断は基本的にオススメしません。

 

パーソナルデザイン診断も<分析並行式>です。

パーソナルカラードレープのような診断スケール(ものさし)は特にありませんが、スカート丈を上げてみたり、襟を大きく開けてみたり、その場で色々試しながら「それがどう見えるのか」を分析しています。(実際に試さない場合は、脳内でシミュレーションします)

 

<結果先行式>は「その人の外見にどういう特徴があるのか?」を重点的に見ます。
例えば、目が大きいか小さいか、丸いか切れ長なのかを見極め、「目が大きいからこういうものが似合う」とアドバイスします。

<分析並行式>でも外見の特徴は踏まえますが、どういう外見かというよりは「それがどう見えるか?」というところに重点を置いています。
例えば、パーソナルカラー診断では、理論的には「色素が薄い人は薄い色が似合い、色素が濃い人は濃い色が似合う」と言われていますが、診断の際には「色白か/色黒か」という外見の特徴は重視しません。あくまで「ドレープを当てた時の顔色がよく見えるか、悪く見えるか」で判断します。実際に色白な方で濃い色が似合う人はたくさんいます。

 

 

結果先行式、分析並行式のメリットデメリット

<結果先行式>は「わかりやすく理解しやすい」「分析結果の誤差が少ない」というメリットがあります。

デメリットは「個人に落とし込みにくい」ことです。

例えば、「丸顔には直線的なものが似合わない」という法則があったとして、実際には「丸顔だけど直線的なものが似合う」人もたくさんいます。

この世に全く同じ顔、同じ体型の人は存在しないので(双子でも微妙に違います)、理論通りにいかないのは当然なことなのです。

「法則通りにハマらない例外」をどう落とし込むか、そこがアナリストの腕の見せ所かもしれません。

メソッド通りに分析してマニュアル通りの結果を伝えることは誰でもできます。

<結果先行式>の診断においては「分析結果が本当に法則通りにその人に似合うのか?」を確認することが大切ですし、マニュアル通りではなくその人に合った提案をすべきだと思います。

 

一方、<分析並行式>は「個人に落とし込みやすい」のがメリットです。

デメリットは「アナリストの主観で誤差が出やすい」「診断根拠を伝えにくい」という点でしょうか。

例えば、パーソナルカラー診断で同じドレープを当てたとしても、あるアナリストは「顔色がよく見える」と診断し、別のアナリストは「顔が膨張してぼんやり見える」と異なる見解になることもあり得ます。
だからといってどちらの診断結果も正解とするのは違うと思いますが、<意見が割れやすい>のは<分析並行式>です。

もちろん、骨格診断や顔タイプ診断でも判定に悩むケースはたくさんありますが、見るポイントが外見的な特徴だけなので、あまり主観に左右されません。迷うことがあっても「この人の輪郭は直線的な要素もあるけど、どっちかというと曲線寄りでは?」「いや、どちらかというと直線的じゃない?」という迷い方です。
顔タイプ診断などは、その誤差をうまく吸収して最終的には誰がやっても同じ(もしくは近い)判定結果になるようにうまくメソッドが作られています。

 

 

パーソナルデザインは診断根拠を明確に説明しづらい特性がある

パーソナルデザイン診断では声のトーンや話し方なども見ますが、「声が大きいからファッショナブル」ということにはなりません。
「その大きい声で話す姿がガサツな感じに見えるのか、それとも迫力があって堂々として見えるのか?」というところを見ています。

「声が大きいか否か?」というチェックポイントに〇×をつけただけでは到底<答え>にたどりつけないのです。

 

また、細かいポイントに囚われすぎると、まさに「木を見て森を見ず」で全体像を見失ってしまいます。

 

例えば、建築とファッションは通じるところがありますが、こちらの二つの家。

 

どちらが和風で洋風か、一目でわかりますよね?
おおざっぱに言うと、パーソナルデザイン診断は「一目でわかりますよね?」という診断法です。

骨格診断は、建物の構造(木造、コンクリート造など)を見るもの。
顔タイプ診断は、建物の姿図(正面から見た時の窓の形や大きさ、屋根の形状や傾斜角度など)を見るものだと例えたらイメージしやすいでしょうか。

最近は、家も和モダンや北欧風など様々なテイストがあります。
和風と洋風、両方の要素があるならば、和洋折衷です。
それらを「どこを見て判断してる?」と考えてみたらわかりやすいかもしれません。

 

パーソナルデザインの診断基準をもっと知りたいならば、コンサルティングの時に説明する「パーソナルデザイン各タイプの特徴」をよーく聞いてみてください。
そこにたくさんヒントが入っていますよ。

ただ、「屋根が瓦だと和風」とはならないように、「背が高いからファッショナブルタイプ」とはならないことをわかっていただけたら…と思います。

 

<分析並行式>の診断においては、「なぜこのタイプになるのか?」をちゃんと理解できるように説明できるかどうかが、実はアナリストの腕の見せ所なのではないかと思います。
 

三好詔子 Shoko Miyoshi

イメージコンサルタント、1級建築士
ファッションからインテリア、建築にいたるまで<美しさの法則>を日々研究し、現在大阪でサロンを開業中。
自分で気づいていない個人の魅力を、内面や外見あらゆる側面から引き出してアドバイスする毎日です。